曇天とユウウツと『サブスタンス』映画で少しでも心が軽くなるかの、私なりの記録
- モブ・イズミヤ

- 2025年4月29日
- 読了時間: 5分
更新日:2025年6月23日
気分が乗らない一日は本を読んでも、街に出ても、何をしたってマイナス思考。そんな日もある。そういう塞ぎたくなるような日に外に一歩出てみる。の巻

★ユウウツな日に映画を観る_揺らぎと行動
何も考えたくない。もうイヤ。全部イヤ。布団から出たくないし、外に出たくない。けど家にいるともっとイヤ。いったいどうしたいいんだ、私は。
そんな日は誰だってあると思う。子どもだって大人だって。
その日はそんな日だった。
修理した眼鏡を取りに行く用事がある。理由は何でもいい。「書を捨てよ町へ出よう」である。
私は部屋を出て新宿に向かった。
空は曇天で湿度が高く、梅雨がもうじき来るのかも知れない。
耳を覆いたくなるのでイヤフォンをしてタイムフリーで好きなラジオを聞きながら電車に乗って新宿へ行き、無事眼鏡を受け取った。
さて。これからどうしようか。
昨日ネットで調べていた映画でも行こうかな。気晴らしになればいいが。
iPhoneで調べると「サブスタンス」がやはり気になる。
トレーラー映像は以前に既に観ていて気になってはいたんだ。デミ・ムーアが主演だしね。「ゴースト」に出ていた人くらいしか知らないんだけど。
新宿の映画館だと2館で公開されているようだが、あいにく最終の回以外は席が埋まっているようだ。この日は公開2日目、人気のようだ。
それで渋谷で調べるとちょうどいい時間で座席が取れそうだ。
ところが“早く取ってしまえ”という私と、“行かなくてもいいんじゃないか”という私がいて、しばし戸惑った。
先に移動してしまえと思い山手線に乗る。すごい人が多いなと思いつつ渋谷に移動する。
移動、つまり動き出すと何かがカチッと音がする。
勢いがつくということなのだろうか。私はたまたま座れたシートに座ってからすぐに手が動きその場でクレジットカードを出して予約を完了することが出来た。
★スクリーンの闇が掴む
渋谷に到着すると人混みはさらに多く感じる。
向かうべき映画館はヒューマントラストシネマ渋谷。何度か来たことはある。館名の由来を聞きたいところだがずいぶんと難しい名前をつけている。志が高そうだが呼びづらい。
この映画館、立地は良いところにあるのだけど目的の階に向かう動線が難しい。
選ぶべきエスカレーター、または選ぶべきエレベーターを間違うと面倒になる。
私の入ったシアターは「シアター1」200席あるというシアター内の後ろから二番目の左側の席に陣取る。スクリーン小さく感じるので次に来る時にこのシアターでは中央辺りが良いと心にメモを取る。
iPhoneとApple Watchの電源を消す。
長いCMが続き、やがて照明が消え映画の世界に入っていく。
★事前の勝手な勘違い
映画の内容について、私は勝手に「若返りの薬で年齢を行き来する女性の葛藤」を描いた作品だと思っていた。たとえば、手塚治虫の『火の鳥』や、デヴィッド・フィンチャーの『ベンジャミン・バトン』のように、「老い」や「不老不死」について深く掘り下げる作品だと。
私は事前に勝手に想像するのが好きだ。
そして今回、観了後の感想は「ビックリした」
まずこの映画はホラー映画ではないか。私はホラー映画は苦手だ。苦手だがこの映画は度が超えていた。
勝手な思い込みを完全に裏切った。そしてそれは痛快だった。
★作り手の妙 の・ようなもの
俯瞰から見下ろすように撮影しているシーンが多いのには理由があるのだろうか。
何かオマージュ的なものがあるのだろうか。私にはわからなかったけれど、なぜかその角度に引っかかるものがあった。
冒頭のトイレでのシーン、食事のシーンは不快要素が強くなにかの意図を感じた。
過去の同級生との会話のシーン、同じ薬を服用している男性とのカフェでの会話の内容は全体の流れから見てこのシーンのみがスピードを緩め、テンポを落としているように感じて、それが故に心に残るシーンとなっている。
後半からラストのクライマックスにかけてはもう痛快だった。
理解や理屈で追いつくところではなくなっていて、もうただ驚きの連続となってしまった。
クライマックスのこれでもかという量の、あのシーン。
冒頭に感じた「老いることについて」という思考を持たせない、少なくとも「私には」だがそのくらいのスピード感で回答を出すでもなく映画は終わった。
そしてそれは素晴らしいことだった。
★まとめようとする心、それは頭の中でおきている
「自分は自分自身から逃げることは出来ない」
そんなセリフがあったと記憶している。
私は私が嫌いだったりそうでもなかったりするが、それでもなんだかんだやってきてこれからもそうだろう。
逃げられないことが分かっていても今だって自分自身から逃げたいなと思ったりしている。
★現実と現在への回帰
上映が終わって、7階の窓から宮下公園を見下ろすと、ものすごい数の人が芝生で寝転んでくつろいでいる風景が見えた。
私は少しのあいだ映画の中にいて現実に戻ってきた。
何も変わっていない。2時間弱は間違いなく老いた私。
混雑した渋谷の町を避けて、少しだけ遠回りをして駅に向かった。
いい歳の取り方ってなんだろう。
笑って暮らすことってそんなに難しいことなのかな。
私のユウウツは時間が来ればまたやってくると思う。
いつか元気になるといいな。できれば早く元気になるといい。
その日をしばし待つことにする。
少し気晴らしになった気がするよ。
ありがとうコラリー・ファルジャ、そして御年62歳になるというがまだまだ存在感が抜群だったデミ・ムーア。
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